2025.11.01
ICカードが使えない?磁気不良とICチップエラーの原因・対処法

交通系ICカードやクレジットカード、さらに社員証や入館証など、私たちの生活にはあらゆるカードがあります。そして日常のなかで突然「カードが反応しない」「改札で止まってしまった」「ATMで読み取れない」といったトラブルが起こることがあります。実は見た目は似ていますが、カードにはICチップや磁気ストライプが使用されており、ICと磁気ではそれぞれエラーが起こる原因と対処は変わります。
この記事では、ICカードの仕組みと、発生するエラーの原因、適切な対処法、再発行の流れ、さらに予防策までを体系的にまとめました。トラブル時の行動指針として、また日常のカード管理に役立ててください。
IC Carad Factory は長年のICカード制作実績があり、ICカードに関するお悩みのご相談をお受けしています。ICカード制作や再発行などについても、お気軽にお問い合わせください。
ICカードの磁気不良とは?

ICカードや磁気カードのトラブルの中でも、特に多くの人が経験するのが「読み取れない」というエラーです。この原因の多くは磁気ストライプ部分の劣化や破損が関係しています。この章では、磁気不良の基本と原因を整理していきます。
そもそも磁気不良とは?
磁気不良というのは、カードに記録されている磁気情報が読み取れなくなる状態を指します。私たちが利用しているさまざまなカードには、情報を記録する為のICチップや磁気が使われていますが、その種類には主に以下の3つのタイプに分かれます。
- 磁気のみのカード
- 磁気とICチップが埋め込まれているカード
- ICチップのみ搭載されているカード
このうち磁気を搭載している2タイプで、磁気不良が起こりえます。
ICチップも搭載されているカードであれば、磁気不良になってもICで読み取りができるケースもありますが、利用環境によっては磁気を必要な場合(IC非対応のATMや決済端末でIC読み取り機能をオフにしている場合など)もあります。
ICチップエラーとの違い
ICカードのエラーが起きた際に、磁気不良と混同されやすいのが ICチップのエラー です。ICチップは小型の半導体で構成され、強いセキュリティ性を持っていますが、物理的破損や汚れ、静電気などの影響で、正常に読み取れなくなることがあります。
磁気不良は「外部からの磁気影響や摩耗」が主因であるのに対し、ICチップエラーは「チップそのものの破損や接触不良」が原因である場合が多いです。ICチップ付きの磁気カードでエラーが起きた際、エラーの原因が「ICチップなのか、磁気なのか」の見極めは難しいため、両方の可能性を考慮する必要があります。
非接触型と接触型カードの違い
ではICチップのついた ICカードにはどのような種類があるのでしょうか。ICカードは大きく 接触型 と 非接触型 に分類されます。
・接触型
カードをリーダーに差し込み直接ICチップを接触させて読み取る方式。物理的な摩耗や汚れの影響を受けやすいカードです。
・非接触型
交通系ICカードやクレジットカードのタッチ決済のように、かざすだけで情報を通信する方式。カード内部に埋め込まれたコイル状アンテナが断線してしまうと、読み取れなくなってしまいます。
どちらも「経年劣化」「環境要因」「取り扱い不注意」によってトラブルが発生し得る点は共通しています。
ICカードが使えない主な原因

IC+磁気カードが反応しない場合、磁気不良とICチップ不良の両方の可能性があります。それぞれの主な原因を整理してみましょう。
磁気不良の原因
ICカードの磁気ストライプ部分に不具合が発生する原因には、以下が考えられます。
・強い磁気の影響
スマホケースやバッグのマグネット、スピーカーなどの影響でデータが破損することがあります。
・摩耗・汚れ
財布からの出し入れや、端末での繰り返し使用による摩擦により、ストライプが削れたり汚れたりすることがあります。
・皮脂・ホコリの付着
皮脂やホコリで汚れ、磁気ヘッドが正しく読み取れなくなることがあります。
・高温・変形
車内など高温下に長時間放置するなどで磁性体が劣化することがあります。また高温により磁気ストライプが変形して読み取り不良が起こることがあります。
・経年劣化
長期間の使用による磁力低下により、読み取りの精度が悪くなることがあります。
ICチップ不良の原因
ICチップが搭載されているカードの場合は、以下の原因でICチップの不具合が起こることが考えられます。
・物理的損傷
カードの折れ曲がりやひび割れ、衝撃などでICチップが破損することがあります。
・接点の摩耗や汚れ
接触式カードの場合、何度も使用することで、リーダーと接触する金属端子が摩耗したり、折れたりすることがあります。
・静電気・過電流
冬場に静電気が一気に流れ込んだりすると、チップ内部の回路が破損し、通信ができなくなることがあります。
・高温・湿度
車中や雨天時など高温の場所や湿気でICチップに接触不良が起こることがあります。
・アンテナ断線
非接触型カードにおいて、内部のコイル状アンテナが曲げや衝撃、経年で切れてしまうと読み取りができなくなります。
カードの種類別 対処法

カードの種類ごとに、起こりやすいトラブルや適切な対応方法は異なります。この章では代表的なカード別に、よくある不具合とその対処法を整理して紹介します。
交通系ICカード(Suica・PASMOなど)
電車の改札で読み取りができなくなった場合は、駅の窓口や券売機で「再発行手続き」が可能です。残高や定期券情報は引き継げるケースが多いため、自己判断で処分せず駅係員に相談しましょう。紛失や盗難を伴う場合は、本人確認書類の提示や手数料が必要になることもあります。また各種申請は、カードの対応エリアのみということがほとんどですので、注意しましょう。
クレジットカード・キャッシュカード
カード会社や銀行の窓口・会員ページから再発行手続きを行いましょう。また一部の金融機関ではATMで磁気不良が自動回復するシステムを導入していることがあるため、HPなどで対応機関かどうか確認をするのもおすすめです。改善しない場合は、速やかに再発行手続きを行いましょう。到着まで時間がかかるため、いざというときに備えてサブカードを作っておくのもいいでしょう。
社員証・学生証などの認証用ICカード
社員証や学生証では、まず総務部門や学務課といった管理部門に連絡し、利用停止と再発行の依頼を行います。これらのカードには個人情報が記録されているため、セキュリティを考慮した再発行手続きが行われます。具体的には、本人確認に加え、組織内部での承認フローや台帳管理が必要になることも多く、発行元と組織担当者の二重チェックを経て新しいカードが渡されます。また、カードの再発行に2000円~5000円程度の費用が発生することもありますので、費用については確認が必要です。
社員証は入退館管理や勤怠システムと連動しているため、不正利用防止のためにも速やかな再発行が重要です。再発行の手続きが大変な社員証や学生証などのICカードは、磁気不良やICチップエラーを発生させないよう、適切な使用・管理を行いましょう。
やってはいけない対処法
ICカードや磁気カードのトラブルに遭遇したとき、つい手元にあるもので修復を試してみたくなる場合もあるでしょう。インターネットの情報にも、「消しゴムで擦ると磁気が一時的に復活する」といった情報が散見されます。しかし、自己流の対処はかえって状態を悪化させることが少なくありません。特に次のような対処法は推奨されません。
・セロハンテープで補強する
粘着剤がカード表面に残り、端末の読み取りヘッドを汚してさらに不具合を悪化させる恐れがあります。
・消しゴムでこする
一見汚れがきれいになるように見えますが、摩擦で磁気を削って情報そのものを失わせる危険があります。
ICカードが使えずお困りの場合は、専門スタッフがご相談を承っております。再発行の手配や管理方法、お見積もりなど、お気軽にお問い合わせください。
再発行に関する手続きと注意点

カードが使えなくなった場合、最終的な解決策は再発行です。ここでは、実際に再発行を進める際に知っておきたいポイントを整理します。
再発行に必要なもの
多くのカードは会員専用ページからオンラインで再発行の依頼が可能です。窓口での手続きでは、以下の書類が必要になります。企業や学校など組織や団体で一括している場合は専門部署で行います。
- 運転免許証やパスポートなどの本人確認書類
- エラーが発生したカード本体(返却が必要な場合あり)
- 再発行申請書
- 場合によっては印鑑や登録済みの暗証番号
あらかじめ何が必要か確認していくと、再発行がスムーズに依頼できます。
再発行手数料や再発行にかかる期間
手数料や期間はカード会社や鉄道会社によって異なります。無料の場合もありますが、数千円かかるということもあるため、確認をしてください。期間も数日~2週間程度と幅があります。早めに依頼することで、生活への影響を最小限に抑えられます。
再発行の手続きは一見シンプルに見えても、実際にはいくつかの段階があります。まずは発行元に連絡し、利用停止処理を行ってもらうことが第一歩です。その後、本人確認書類の提示や申請書類の記入を経て、審査を通過すれば新しいカードが発行されます。郵送で自宅に届く場合もあれば、窓口受け取りが必要な場合もあります。再発行されたカードは、到着したその日からすぐに利用可能ですが、場合によっては暗証番号の再設定や登録情報の更新が必要になります。いつから利用が再開できるのか、こうした流れをあらかじめ理解しておくと対応できるでしょう。
磁気不良・ICチップ劣化を防ぐには?

カードを長く安心して使うためには、普段からの扱い方や保管方法が重要です。ここでは、カードの急なトラブルを避けるため、磁気やICチップを劣化させないための基本的な予防策を紹介します。
スマホや磁気製品と一緒にしない
磁気不良によるトラブルを予防するため、強い磁気を発する物(携帯電話、スマートフォン、テレビ、ラジオ、スピーカー、ハンドバッグや財布などの磁石留め具、磁気を発するアクセサリーなど)に近づけすぎたり、一緒に保管しないようにしたりすることが大切です。「テレビの近くで管理する」、「パソコンとICカードを同じ鞄に入れる」など、ついつい日常でやりがちな行動がトラブルにつながる可能性があるので注意が必要です。
重ねないように収納する
複数のカードをまとめて財布に入れると、磁気ストライプ同士がこすれて摩耗し、磁力が弱まることがあるためです。また非接触型カードを重ねると、リーダーが複数枚を同時に検知しようとして通信が衝突してしまうことがあります。財布やカードケースなどは、1ポケット1枚を基本にして、カード同士を重ねないようにしましょう。
強い力・熱・水気を避ける
折れや曲げ、高温、水没といった物理的・環境的なダメージは、ICカードにとって大敵です。ICチップのエラーや磁気不良を招きやすい以下のような行為には、十分注意しましょう。
- 後ろポケットに入れたまま座ってしまう
- バッグの中で重い荷物の下にカードホルダーを入れる
- 真夏の車内に放置する
- 風呂やキッチンに置いておく
- 海や川の近くに持ち込む
ICカードに物理的な力を加えないよう心がける、温度の高い場所や水のある場所を避ける、雨に濡れないようにするといった小さな工夫が、カードを長持ちさせる秘訣です。
予防に役立つアイテム・グッズ
ICチップのエラーや磁気不良を起こさないために、カードを日常的に持ち歩くうえで、便利なグッズも販売されています。カードの安全性を高めるため、日々の習慣に取り入れるのもおすすめです。
・磁気防止ケース
外部磁気からカードを守り、バッグやスマホケースの磁石による影響を防止します。
・カードセーバー
カードを透明フィルムで覆うことで摩耗や汚れを防ぎます。
・専用ホルダー
折れ・曲げを防止し、物理的ダメージから保護します。
こうしたグッズは100円ショップなど比較的安価で入手しやすいものも多いため、長期的に使用していくために利用するのも良いでしょう。
まとめ
私たちが利用しているカードには、以下の種類があり、それぞれのタイプによって起こる不良の種類も対処も異なります。
- 磁気のみのカード
- 磁気とICチップが埋め込まれているカード
- ICチップのみ搭載されているカード
実際にトラブルが起こった場合には、磁気不良なのかICチップのエラーなのか、判断しにくい場合がほとんどです。トラブルを解決するためには、自己判断せず専門家に相談する、再発行するといった手続きを取りましょう。
ICカードの不具合でお困りの際は、ICカード制作の専門スタッフにご相談ください。ICカード制作や、再発行の手配や管理方法など、お気軽に以下までお問い合わせください。




