ICカード社員証作成のメリットは？費用や紛失時の対応も解説

「社員証をICカードにするメリットは？」
「ICカード社員証の作成費用を知りたい」

社員証のICカード化を検討している方の中には、このような疑問を持つ方も多いでしょう。ICカード社員証は、入退室管理や社内決済、複合機の認証などさまざまな用途で活用することができます。一方で、導入に当たっては、紛失時のリスクやその対策も押さえておきたいところです。

本記事では、ICカード社員証のしくみから導入メリット、さらには紛失リスクおよびその対策などについても詳しく解説します。社員証のICカード化を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。

「ICカードタイプの社員証を作りたい」「どれくらいのコストがかかるか知りたい」などICカード導入を検討されている方は、ICカード制作の実績が豊富な「IC Card Factory」までお気軽にお問い合せください。

ICカード社員証のしくみと活用例

最初にICカード社員証の基本的なしくみと活用シーンを紹介します。しくみについては専門用語も出てきますが、ICカード作成事業者に外注する際には必ず出てくるワードですので、ひととおり押さえておきましょう。

ICカード社員証の基本的なしくみ

ICカードとは、データの記録・処理などを実行するIC（集積回路）チップが内蔵されたカードを指します。ICカードは「接触型」と「非接触型」に大別されます。

• 接触型ICカード：カード表面に組み込まれたICチップと専用リーダーを物理的に接触させて通信を行う
• 非接触型ICカード：カード内部に搭載されたICチップおよびアンテナで電波を送受信し、通信を行う

接触型・非接触型ともにICカードを社員証として活用する「ICカード社員証」としての利用が可能です。なお、近年普及が進んでいる交通系ICカードは非接触型、タッチ決済が可能なクレジットカードは接触型・非接触型のコンビ型になります。

ICカードの基本情報については、以下の記事で詳しく解説していますのでご覧ください。
※関連記事：ICカードの種類は？活用例や選び方のポイントなどを紹介！

非接触型ICカードには、内蔵するICチップの規格がいくつかあり、代表的なものとして「FeliCa（フェリカ）」と「MIFARE（マイフェア）」が挙げられます。

• FeliCa：ソニー株式会社が開発した、国内で最も普及している通信技術（規格）。セキュリティの高さや通信速度の速さが特徴
• MIFARE：オランダの企業・NXPセミコンダクターズ社が開発した、世界で最も普及している通信技術（規格）。種類の多さや低コストが特徴

非接触型ICカードで社員証を作成する際には、搭載したい機能や自社のセキュリティ基準などに応じて、ICチップの規格を選定します。

ICカード社員証の主な活用シーン

ICカード社員証の主な活用シーンは以下のとおりです。

• 入退室管理：個人認証によりエントランスや会議室などの入退室を管理する
• 勤怠管理： ICカード社員証で打刻を行うことで、勤怠管理を効率化する
• 社内決済：社員食堂や自動販売機などの決済を行う
• 複合機の認証：複合機の利用認証を行い、セキュリティ性を高める

このようにICカード社員証は、さまざまな用途で活用することができます。自社の課題や用途に応じて幅広いシーンで活用できる点は、ICカード社員証の魅力の一つと言えるでしょう。

社員証をICカードにする3つのメリット

では、社員証をICカードにするメリットは何でしょうか。ここでは3つのメリットを解説します。

セキュリティを強化できる

エントランスや会議室などの入退室管理をICカード社員証で行うことで、部外者や不審者の侵入を防止および抑止することができます。これにより従業員は安心感をもって仕事に取り組めることでしょう。

また部屋の用途やセキュリティレベルに応じて入退室できる従業員を制限することも可能です。たとえば高価な機器が並ぶサーバールームや機密情報の保管場所などに制限をかけることで、企業としてより強固なセキュリティ環境を構築することができます。

勤怠管理を効率化できる

ICカードは社員証を勤怠管理システムと連携させることで、出退勤時間の記録や集計を自動化できます。これまで紙のタイムカードで運用していた企業の場合、担当者はわざわざ手動で集計する手間がなくなることに加え、転記ミスが減ることで勤怠管理の正確性もより向上し得ます。さらには、シフト管理や残業時間の管理などもリアルタイムで行えるため、効率的な労務管理も実現します。このようにICカード社員証の導入により、勤怠管理ひいては労務管理にまつわる業務全般の効率化を図ることができます。

さまざまなロス時間を削減できる

ICカード社員証の活用により、さまざまなロス時間を削減できます。たとえば社員食堂や自動販売機での決済にICカード社員証を利用すれば、決済時間および待ち時間の短縮につながるでしょう。また、入退室のための鍵の受け渡しや本人確認などのやり取りも不要になります。さらには入館証と社員証を兼ね備えさせることで、それぞれのカードを探す時間も削減されます。1つ1つの作業における短縮効果は短いかもしれませんが、さまざまな場面でのロス時間削減が期待できます。

ICカード社員証作成にかかる費用相場

ICカード社員証の作成費用はICチップの種類（規格）や枚数によって異なります。代表的な規格における、1枚当たりの費用目安は以下のとおりです。

例）1枚当たりの費用目安（500枚作製の場合）

• FeliCa Standardの場合：約850円～
• FeliCa Lite-Sの場合：約400円～
• MIFAREの場合：約400円～

ICカード社員証の場合、ICカード本体の印刷に加えて、顔写真や個人名などの可変印字（1枚1枚異なる情報を印刷すること）も必要になるため、ICカードのみの作成費用と比べて費用は高くなります。また初期費用やデザイン代などが追加で発生する場合もあります。

規格や枚数によって費用は異なるため、正確な費用はICカード作成事業者に見積もりを取って確認しましょう。

「社員証をICカードに変える費用は？」「ICカード社員証作成の見積もりをしたい」といった疑問は、ICカード制作の専門会社「IC Card Factory」までお気軽にご相談ください。最適なICカードの選定からコストの相談まで柔軟に対応いたします。

社員証にするICカードの選び方

ICカードと一言でいっても、その規格（種類）はさまざまです。ではICカード社員証を導入したい場合、どのような点を押さえておくべきでしょうか。

セキュリティの高いFeliCaを検討する

高いセキュリティレベルが求められるICカード社員証においては、まずはセキュリティ性の高さが特徴の規格「FeliCa」を検討しましょう。FeliCaは、多くのICカード社員証で採用されています。FeliCaにはさらに種類があり、それぞれセキュリティレベルは異なりますが、たとえば「FeliCa Standard」のひとつ「FeliCa Standard SD2」は業界最高レベルのセキュリティ性を有します。

システムとの互換性を考慮する

ICカードの規格によって、互換性のあるソフトウェアおよびハードウェアは異なります。そのため、とくに既存システムとの連携を検討している場合、ICカードとの互換性を考慮する必要があります。なお、互換性の有無については専門家であるICカード作成事業者に相談をするのがおすすめです。

ICカード社員証の紛失リスクと対策

ICカード社員証の運用にあたり、事前に押さえておきたいのが紛失リスクとその対策です。紙のタイムカードや普通の鍵と異なり、ICカード社員証ならではの紛失リスクがあることも事実。そこで、ここではICカード社員証の紛失リスクとそのリスクを下げるための対策を解説します。

ICカード社員証の紛失リスク

ICカード社員証を紛失してしまった際の一番のリスクは、第三者がそのカードを利用して不法侵入できる点です。しかし、このリスクは普通の鍵も同様と言えます。ただし、ICカード社員証の場合は利用停止ができるため、その点では鍵より紛失後のリスクは小さいと言えるでしょう。

一方、ICカード社員証の紛失リスクとしては個人情報の流出が挙げられます。ICカードには企業名や氏名、顔写真、所属部署などの情報が印字されているため、紛失時には第三者に従業員の個人情報を知られてしまうリスクがあります。ただし、この点も紙の社員証と同じと言えるでしょう。
そのほか、たとえばICカード社員証を紛失した場合、場合によっては顧客情報など機密情報へのアクセスが発生する可能性もあります。それが発覚した場合、企業の社会的信用の低下にもつながる恐れも考えられるでしょう。

紛失後のリスクを下げる対策

ICカード社員証の紛失リスクは、首にかけるリール付きのカードホルダーの中にICカードを入れて持ち歩くことをルール化することで、かなり軽減できるでしょう。しかし、それでも紛失リスクは0にはなりません。大切なのは、紛失リスクを抑えつつ、紛失後のリスクも最低限に留める取り組みを徹底することです。

ICカード紛失後の対応については、「社内マニュアル」の整備と周知の徹底を図りましょう。マニュアルには、紛失発覚時の初動対応として「カード紛失後に報告すべき部門および担当者」を必ず明記します。ICカード紛失の報告を受けた担当者が、即座にICカードの無効化処理を行い、悪用されるリスクを軽減できるためです。そのほか、マニュアルには「社外で盗難に遭った場合の対応」や「持ち歩き時のルール」などを記載すると良いでしょう。

ICカードのセキュリティについては、以下の記事で詳しく解説しています。
※関連記事：ICカードのセキュリティ｜仕組みや取るべき対策とは？

ICカード社員証の作成手順

ICカード社員証の導入を決定した場合、どのようなステップで作成するのでしょうか。ICカード作成事業者に外注をする場合におけるICカード社員証の作成手順を3つのステップに分けて解説します。

ICカード社員証に必要な機能を検討する

まずは自社内でICカード社員証の用途を明確にしましょう。入退室管理・打刻のみの運用にするのか、それらに加えて社員食堂や自動販売機での決済にも利用できるようにするのかなど、用途によって最適な規格が異なるためです。どのような用途で活用できるのか知りたい場合は、ICカード作成事業者に相談するのも良いでしょう。用途が明確になれば、最適な搭載機能を選定することができます。

ICカードの材質と形状を決定する

ICカード社員証の用途および搭載機能が決まった後は、ICカードの材質と形状選びの工程です。

材質については、まず一般的な「PVC（ポリ塩化ビニル）」もしくは、PVCの代替素材として開発された「PET-G（非結晶PETポリマー）」を検討すると良いでしょう。そのほかの素材としては、海外でよく使われている「ポリカーボネート」や「ABS樹脂」も選択肢に入るかもしれません。

一方、形状については、国内で一般的な「JIS規格（JIS X 6301）」の検討から始めてみましょう。同規格の大きさは「長辺：85.6ミリ×短辺：54.0ミリ×厚さ：0.76ミリ」であり、クレジットカードのサイズになります。そのほか形状にはたとえば正方形タイプもありますが、カードホルダーや服のポケットなどへの収納性が欠ける点には留意しましょう。

カードデザインを決める

最後に、企業ロゴや従業員の顔写真の印刷箇所、全体の色味など、カードの全体デザインを決めていきます。

デザインは自社でデータを用意してそれを印刷することができるほか、ICカード作成事業者へデザインを依頼することも可能です。後者の場合は、おおよそのデザインイメージを決めておくと話がスムーズでしょう。

ICカードの作成に関しては、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
※関連記事：ICカードを作成したい！具体的な方法やコストなどを徹底解説

ICカード社員証作成には専門知識が必要

ICカード社員証の作成にあたっては、用途や自社のセキュリティ基準に応じた規格および搭載機能を選定する必要があります。さらには既存システムとの互換性やカード素材、加工技術などの考慮も必須であり、自社だけで最適な仕様を選定するのは簡単なことではありません。そのため、最適なICカード社員証運用を始めるためには、ICカード作成事業者に相談をするのがおすすめです。

「IC Card Factory」では一貫生産による高品質・短納期を実現しています。また法人、教育機関、自治体など幅広い業種での豊富な実績も特徴です。「ICカード社員証作りを一から教えて欲しい」「社員証をICカードにして業務を効率化したい」といったICカードに関するお悩みは、「IC Card Factory」までご相談ください。

まとめ

ICカード社員証は、勤怠管理の効率化だけでなく、適切な入退室管理、社内決済の電子化など、多くの場面で活用が可能です。
「勤怠管理を効率化したい」「入室やPCアクセスのセキュリティを高めたい」など、現在抱えている課題解決にも寄与するICカード社員証の導入を、ぜひ検討してみてはどうでしょうか？

※「FeliCa」は、ソニー株式会社の登録商標です。
※「MIFARE」は、NXP B.V.の登録商標です。